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空き家の解体工事、その前に! 害虫・害獣対策のススメ

本能的に「苦手」「不衛生」と感じる生き物といえば、一般的にゴキブリネズミなどを想像する人がほとんどでしょう。

こうした生き物は一口に害虫害獣と呼ばれますが、そんな彼らにも当然「生きる」という目的があり、繁殖するための住処をどこかに見つけなければなりません。

その“住処”にされやすい環境として、人々が生活を営む「家」であったり、生ゴミや油など食料に困らない「飲食店」などが挙げられますが、最も標的となりやすいのは何年も放置され、人間が寄り付かなくなった「空き家」です。

そして、その空き家を取り壊す解体工事と、人々を困らせる害虫・害獣問題は切っても切り離せない関係にあるのです。

今回は、害虫・害獣の種類から主な発生原因に加え、「解体工事の当事者として、事前に何をしておくべき?」という疑問にお答えしていきます。

主な害虫・害獣の種類と被害

害虫(害獣)、と言っても種類は様々です。

ここでは、日本で一般的に「害虫・害獣」と呼ばれている生き物の一部について、主な特徴や被害を解説します。

ゴキブリ

巷では“G”とイニシャルで呼ばれることもある「ゴキブリ」。その名前すら見たくないという、日本人のゴキブリに対する強い嫌悪感が窺えます。

そんな、今も昔も“嫌われ者の代表格”である彼らですが、具体的にはどのような害があるのでしょうか。

やはり一番の理由は、「見た目」と「素早い動き」による精神的なダメージに尽きるようです。

実は、彼らは体の構造や性格的に「噛む」や「刺す」といった攻撃ができないため、出現したからといって直接的な害があるわけではないのです。稀に人間の方へ飛んで来ることもありますが、遭遇したことでお互いパニック状態に陥ったために偶然そのような形になった、というケースがほとんどでしょう。

強いて直接的な害を挙げるならば、お世辞にも衛生的とは言えない環境を常に渡り歩いているが故に、何らかの病原菌を保有している可能性が高いことでしょうか。退治するにしても、素手での接触はもちろん、日常的に履いているスリッパなどで叩き潰すのはやめておきましょう。

また、暗く狭い場所を好む彼らにとって、空き家は格好の住処・繁殖場となります。その空き家が何の対策も無しに解体されれば、周囲の住宅へ散り散りに逃げ込むことは容易に想像できますね。

ハエ

一年を通して家の周りや室内で遭遇することの多い「ハエ」。蚊と並んで、衛生害虫の代表格です。

排水溝や熟したバナナなどに集る極小のショウジョウバエや、いかにも「ハエ」といった容姿のイエバエ・ギンバエなどが最も身近な種類でしょう。

ただ周りを飛び回られるだけでも非常にうっとうしい彼らですが、不快感だけが害ではありません。具体的には、多種の病原菌を媒介する存在だという点が問題となります。

長距離の飛翔が可能であるため、遠くのゴミ処理場や道端の動物の排泄物などに集っていた個体がそのまま家の中に入り込んでしまうことも珍しくないのです。そうした個体はサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、大腸菌などを保有している可能性がありますので、食べ物や人間が頻繁に触る場所などに接触されては堪ったものではありません。

どこでも見られる存在であり、普段から意に介すこともほとんどない生き物ですが、うっかり接触してしまった時は念入りに手を洗い、病原菌による感染症を防ぎましょう。

ハチ(スズメバチ・アシナガバチ)

見た目が苦手、不衛生…といった理由で害虫に分類されるゴキブリやハエとは少し毛色が異なるのが、「ハチ」です。

気温の上がる初夏から秋の終わりにかけて家の軒先や屋根裏などに巨大な巣を作る彼らは、その攻撃的な性格と見た目のインパクトで人々を恐怖に陥れます(アシナガバチは普段は大人しい性格ですが、営巣中に近付くと大変危険です)。ひとたび刺されれば、体質によっては命の危険すらありますので、放置しておくわけにはいきません。

人の息づく、いわば「生きた家」では、家主が巣の存在やハチ特有の飛翔音・威嚇音に気付くことによって営巣の初期段階で駆除に至ることが多く、大きな被害には繋がりにくいケースがほとんどです。しかし、空き家の軒下など目立たない場所に営巣されてしまうと、周りの住民が気付いた頃には通りがかっただけでハチに攻撃されかねないような“危険地帯”と化してしまう可能性があるため、大変厄介です。

解体工事をする際に大きなハチの巣を発見した場合は、当然そのままでは工事をすることができないため、事前に専門の業者に駆除してもらうことをおすすめいたします。

なお、同じハチでも体格が小さく攻撃性も低い「ニホンミツバチ」は、糞害や蜜による他の害虫の誘引などの理由で駆除対象にされることがある一方、日本固有の昆虫で個体数が減少傾向にある貴重な存在でもあります。

どうしても存在が気になる場合や被害が目に余るようになった場合は、できれば駆除業者ではなく養蜂家の方に連絡を取るようにしてみてください。(殺虫剤の使用ではなく、巣ごと回収することでハチのコロニーを引き取ってくれることがあります。)

シロアリ

“家(木材)を食べる”ことで知られる「シロアリ」。

(※見た目がアリに似ているため「アリ」の名が付いていますが、正確にはゴキブリの近縁種です)

代表的な在来種はヤマトシロアリイエシロアリの2種類で、彼らは主に地中を移動しながら営巣・食事場所を探します。松や柳といった建材にも使われるような木材と湿気を好み、壁や床下・屋根裏などありとあらゆる場所に巣食う害虫です。

一方で、地中を活動域としないアメリカカンザイシロアリという外来種も近年(1980年代以降)増加傾向にあります。輸入された木製家具に棲みついていたものが運び込まれたり、飛んで来た羽アリがそのまま定着するといった形で勢力を広げています。被害の進行は遅いものの、その分発見に時間がかかり駆除が難しいため、厄介な種類として知られています。

どのシロアリも、木造物件はもちろんのこと、時にはコンクリートや断熱材・比較的柔らかい鉛などの金属さえも時間をかけて齧りながらうがってしまう能力があり、油断していると取り返しのつかない状態になるまで建物を弱らせてしまいます。

特に湿気の多い水回りや土間下での被害は深刻で、中を開けてみたら木材がほとんどスカスカだった、ということも珍しくありません。

一般の家でもなかなか発見されにくいシロアリですが、放置された空き家の場合、特にシロアリの発見が遅れがちになります。建物の骨格である土台や柱といった重要部分が食害に遭えば、誰にも気付かれぬまま倒壊直前まで被害が進行してしまった、という事態も十分に考えられるでしょう。そのような空き家は地震や台風などの際に大変な危険因子となりますので、日頃の管理と早期発見が重要です。

ネズミ

衛生害獣として悪名高い「ネズミ」。家の屋根裏などに棲みつき、梁や柱を齧る・足音を立てて走り回る・そこら中に糞を落とすといった被害をもたらします。また、夜中に食料を盗み食いしたり、繁殖期には鳴き声に悩まされることもあるでしょう。

側溝や下水管などを経由して侵入してくる彼らは、当然ダニや寄生虫・病原菌の媒介者となり得ます。万が一噛まれる・引っかかれるなどの攻撃を受けた場合、鼠咬傷による感染症状や、体質によってはアナフィラキシーショックで最悪の場合死に至るケースもあるため、1匹でも発見したら早い段階で駆除するに越したことはありません。

また、ネズミは害「虫」ではなく立派な脊椎動物ですので、寿命を迎えて死んでしまった際の悪臭も大きな問題となります。死臭を嗅ぎつけてハエなどの害虫が誘引される二次的被害も高確率で発生するでしょう。

人が住んでいる家ならば音や糞害ですぐにネズミの存在に気付くことができますが、空き家の場合はやはり発見が遅れがちで、気付けばネズミの巣窟と化していた、という状況も珍しくありません。

ただし空き家には彼らのエサとなる有機物が少なく、空き家の中だけで生活を完結させることは困難です。天敵(人間)がおらず棲み心地のよい空き家を拠点にしつつも、周辺の人家やゴミ捨て場から生ゴミなどを調達してくることで生活を維持しているのです。

住処である空き家が解体されるとなれば、そうした近隣の人家に一斉に移動することが考えられるため、やはり解体工事の気配を感じさせる前に手を打っておく必要があります。

害虫・害獣対策&被害を抑えるポイント

困った害虫や害獣を発生させない・流出させないための「害虫・害獣対策のポイント」と、解体工事前に被害を食い止める方法をお伝えします。

普段から建物の手入れを怠らない

解体工事の「直前」になってから慌てて対策を取ろうとしても、普段から人が寄り付かないような空き家には、すでに大量の害虫・害獣が発生しているケースがままあります。

人が生活していない=空気や水の動きが少ない建物は、急速に劣化が進むと言われています。淀んだ空気・水には、もれなく「暗くジメジメとした場所」が大好きな害虫や害獣が続々と集まってくるのです。

空き家である限り、そうした環境になることは避けては通れないと思われがちですが、実はちょっとした手入れでかなり軽減することが可能です。

ここで、必要最低限の「空き家の管理方法」をお教えいたします。

まず、全ての窓や扉(押入れやタンス・パントリー、床下収納などの収納部分も含む)を開放することで少しでも湿度を下げ、カビ類の発生を抑えましょう

また、浴室や便所・台所といった「水道管が通っている場所」は特に要注意です。水が停滞した状態が長く続けば水道管の劣化が早く進行しますが、逆に水が流れない状態が続いても良くありません。全く通水のない筒状の乾燥した環境、それは彼ら害虫・害獣にとって「地下通路」を意味します。水流によって侵入を妨げられていたものが、干上がってしまえばそれは簡単に室内へ侵入できる、絶好の侵入経路でしかないのです。各所の蛇口を数分だけでも開放し水を流し続けることで、停滞していた汚水も地下通路状態も解消することができますので、水道が生きている場合は必ず実行しましょう。

さらに、食べかすや虫の死骸といった有機物はもちろんのこと、一見ただのゴミでしかないホコリでさえも、ゴキブリをはじめとした害虫たちにとっては格好の食糧です。他にも手垢のつきやすい手すり・足跡の残る床など、できるだけ念入りに清掃しましょう。

最低でも月に一度はこれらの作業を行うことで、最悪の環境は免れることができます。
※ご自身で実行することが難しい場合、空き家管理サービスを活用するのも一つの方法です。

近隣住民への事前説明は必須!

解体工事前に、近隣住民に対して「工事の日程や振動や騒音についての説明」は当然行われるべきことですが、併せて「解体工事によって虫やネズミを見かけることになる可能性」も伝えておきましょう。

こちらがいくら慎重に対策をしたとしても、相手は生き物です。100%根絶できる保証はありませんので、正直にその事実をお伝えし、各自最低限の対策をとってもらえるように説明しておくことが大切です。

こうすることで、事前に説明なく害虫が流れ込んだ場合に比べ、クレームに発展する可能性を大きく減らすことが期待できます。

解体工事に入る前に害虫駆除を依頼する

記事内で何度も触れてきましたが、やはり一番の対策は「解体前にできる限りの駆除・流出予防をしておく」ことに尽きるでしょう。

費用を極力抑えるならば、建物を密閉した上で市販の燻煙材(バルサン等)を焚いたり、専用の駆除材を散布することである程度の効果は期待できます。

その後の効果を見てあまり効き目がないように感じれば、駆除専門の業者に依頼したり、保健所に判断を仰ぐという方法もあります。また、解体工事の予定がそう遠くないのであれば、工事を依頼する業者に直接アドバイスをもらうのも良いでしょう。

いずれの場合(保健所や解体業者からの紹介/直接依頼)でも、「駆除作業」を専門業者に外注した場合の費用は1.5万円から5万円程度となるケースが多いようです。

もちろん建物の規模や害虫・害獣の種類によって大きな差が生じますので、具体的に依頼を検討している場合は、各窓口に直接お問い合わせの上で実際の費用を確認してみてください。

まとめ

「今まさに空き家を放置している」という方は、この記事を読んで少しでも害虫・害獣対策に興味をお持ちいただけましたでしょうか。

どんな生き物が潜んでいるか分からない建物をいきなり解体し始めるというのは、それなりのリスクが伴う行為になることを覚えておいてください。

ちなみに、冒頭で「解体工事と害虫・害獣問題は切っても切り離せない問題」と述べましたが、つまり手慣れた解体業者さんであれば、その対策にも長けている可能性が高いことになります。

もし「害虫駆除の手配はご自身で済ませておいてください」と門前払いされてしまったら、ちょっと困ってしまいますよね。しかし、解体業者自身がそうした対策に詳しかったり、そうでなくても決まった依頼先(駆除業者)を持っている業者であれば、そうした相談にも親身に答えてくれたり、直接紹介してくれるケースがほとんどです。

何より害虫の素人である皆様としては、できることなら解体と一緒に害虫駆除までワンストップで依頼したいですよね。

幅広い知識を持った解体業者さんであれば、その他の悩みや心配事にも丁寧に対応してくれる傾向にありますので、気になることはどんどん聞いてしまいましょう。

なお、解体サポートでも解体工事に関する質問やその他ご相談を随時受け付けております。

お悩みのある方は、ぜひ一度私たちにもご相談ください。

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